無線LANで接続されてはいるものの、その通信が非常に不安定だというケースが少なくありません。
具体的には、無線LANに関して、以下のような現象が起こります

一度でもその無線LANを通じて接続できたことがあるのであれば、
設定が間違っているから接続できないというような、根本的な問題ではありません。
かといって、使用している無線LAN機器が悪いというわけでもありません。

無線LANを使用する環境に対して、現在使用している機器が適切なのか
接続できることはあっても、その設定が最適なのかは、
今一度考えてみる必要があります。

問題が発生したときには、その原因を理解する必要があります
でも、無線LANの設定を機械まかせにしているような状況では、原因の特定さえ困難です。
少なくとも、無線LANの基本的な仕組みを理解しておく必要があります。

ここでは、無線LANの接続が不安定になってしまう理由を、その原因から考えていきます。

電波強度が足りない

無線LANの接続が不安定だと、真っ先に原因として疑いたくなるのが、電波強度の不足です。
実際に、通信距離が遠い、障害物が多い等の理由で、電波強度が低いために、
無線LANの接続が不安定になることはあります。

特に、無線LANで使っている2.4GHz帯、5GHz帯は周波数が高いので、遮へい物の影響を強く受けます
1kHz前後のAMラジオのように、どこでも受信できるようなものではありません。
同じ無線LANでも、2.4GHz帯の「IEEE 802.11g」より、5GHz帯の「IEEE 802.11a」のほうが障害物に弱いです。
「IEEE 802.11g」が障害物に強いってのも、あくまでも相対的な話で、無線LAN全般が障害物は苦手なのです。

だからといって、無線LANの電波出力競争に走るのは、個人的には賛同できません。
そもそも、無線LANの接続が不安定になる原因は、電波の受信状態がよくないからです。
電波の出力が弱いからではありません

無線LANの電波は、信号をやりとりするために使われています。
弱い電波しか受信していなくても、それに対するノイズが小さければ、
信号を正しく受け取ることができます。
逆に、強い電波を受信していても、それに対するノイズも大きければ、
何が本来の信号なのか、判別できなくなってしまいます。

いわゆる、S/N比というものを考える必要があります。
つまり、受信している電波強度だけで無線LANの通信状態を判断するのは、間違っているのです。

無線LANの電波干渉

個人的に、無線LANの接続が不安定になる最大の原因が、この電波干渉だと考えています。
2.4GHz帯は電子レンジ等の他の家電製品とも電波干渉することが知られていますが、
それどころの話ではありません。
無線LANの電波干渉で最も問題になるのは、他の無線LAN機器です。

詳しくは、下記ページで解説しています。

無線LANのチャンネル干渉

このような場合、接続できないからといって、
無線LAN機器の電波出力を高くすればいいという話ではありません。
電波が弱いことが原因ではないからです。

ワイヤレスネットワーク接続

近くにある他の無線LAN機器の発する電波が、こちらの無線LAN機器にとってのノイズとなり、
最悪の場合、通信できなくなります

それは、相手にとっても同じことです。
お互いに好ましくない状態です。

特に、ほとんどの無線LAN機器が対応しているにも関わらず、
周波数帯の独立したチャンネルを選べない「IEEE 802.11b/g」では、
電波干渉は避けられない問題
になってきています。

無線LANの接続が不安定な環境に、どう対応するか

無線LANに関する問題は、その機器が置かれている環境を含めて考える必要があります
環境によって、問題点が違うからです。
この製品を使って、こういう設定にしておけば大丈夫、というようなものではありません

繰り返しますが、重要なのは、発信力ではなく、受信しやすさです。
無線LAN環境を不安定にしたくないのであれば、ひたすら電波強度で競争するのはやめましょう
近所迷惑です。

隣で鳴ってるオーディオがうるさいからテレビのボリュームを上げて、
今度はテレビがうるさいからオーディオのボリュームを上げて、
ってやってるのと同じです。
お互いにうるさいだけで、結局聞き取りにくい状況は何も変わってないという。

今現在、実際に無線LANの接続が不安定だとして、これを安定させるためにどのような方法があるか、
具体例を挙げてみます。

以下、個別に説明します。

「IEEE 802.11a」で接続する

無線LANの電波干渉問題に対して、「IEEE 802.11a」の効果は絶大です。
身をもって思い知らされました。
今現在、私が無線LANで主に使っているのも、「IEEE 802.11a」です。

空いている無線LANチャンネルを探し、それに変更しようという考えはわかるのですが、
チャンネル干渉のページでも書いたとおり、
「IEEE 802.11b/g」では、空いている周波数帯を選べないのが実状なのです。

「IEEE 802.11a」への切り替えには、無線LAN機器側も対応している必要があります。
もちろん、無線LANアクセスポイント(親機)、クライアント(子機)共にです。
でも、「IEEE 802.11a」対応無線LANルーターも1万円以下で購入できるようになったので、
個人的には、「IEEE 802.11a」への切り替えを強くおすすめします。

ここで、電波強度だけで通信規格を選択してはいけません
「IEEE 802.11a」に対応している無線LAN機器は、「IEEE 802.11g」にも対応しているのが普通です。
そして、無線LANクライアント側から見ると、
「IEEE 802.11a」よりも、「IEEE 802.11g」のほうが、受信している電波強度が高いはずです。
「IEEE 802.11g」のほうが、使っている電波の周波数が低く、障害物に強いからです。

だからといって、「IEEE 802.11g」のほうが安定した通信ができるかというと、
必ずしもそういうわけではありません。
無線LANの電波強度と電波干渉は、あわせて考えなければならない問題だからです。
このことが、大きな落とし穴になっています。

電波強度の高い「IEEE 802.11g」では、同時に電波干渉によるノイズも多いため、
信号に対するノイズレベルを考えると、圧倒的に不利になる場合があります。
通信の安定性でいうと、表示されている電波強度の低い「IEEE 802.11a」のほうが、
実際には安定して通信できることが多い
のです。

無線LANにおいて特に注意が必要なのは、「電波強度≠通信速度」ということ。
個人的に無線LAN中継器をあまりおすすめしないのは、このへんの理由からです。
そりゃ、中継器使えば電波強度は高くなるかもしれませんが、
それと安定性、通信速度は別の話です。

無線LANアクセスポイントの場所を変更する

無線LANアクセスポイントの場所を変えるのは、原始的なようで、意外に効果が大きいです。
無線LANクライアントの場所は、そこでパソコンを使用していたりするので、
変更できない場合が多いでしょう。
でも、無線LANアクセスポイントの場所は、通信状態さえ良ければどこでもいいはずです。

壁面だろうと、廊下だろうと、階段だろうと、
通信状態のいい場所に動かせるのであれば、そうすべきです。
必要なのは、長めのLANケーブルのみ。
通信機器を交換するのに比べれば、コスト的にも安くて済みます。

PLCの併用

無線LANは便利ですが、万能ではありません。
環境によっては、無線LANの使用が適さない場合もあります。

たとえば、1階から2階へ、しかも直線距離が長く、間に壁を複数枚挟んでいるような状況では、
無線LANの電波が弱くなって当たり前で、最悪届かなくても仕方ありません。
だからといって、製品の電波出力ばかりを追い求めるべきでないというのは、これまでにも書いてきたとおりです。

そこで、PLCというものがあります。

PLC

一言でいうと、コンセント用の配線を、LANケーブルの代わりに使ってしまう装置です。
詳細は、下記ページにまとめてあります。

PLCという選択肢

PLCは、無線LANではありません。
でも、壁で隔てられ、しかも離れた部屋に置かれたパソコンとLAN環境を構築するという目的においては、
無線LANよりも、PLCのほうが適しています

PLCから直接LANケーブルをパソコンにつないで通信できるのはもちろん、
PLCと無線LANを併用することにより、違う階はPLC、同じフロアは無線LANという使い分けも可能です。
さらに、前述の無線LANアクセスポイントの設置場所自由度が一気に高まります
LANケーブルを引き回さなくても、
コンセントのある場所なら、どこでも無線LANアクセスポイントを設置できるのです。

以上、すべて自分で実践してきて効果があったものです。
何もしないで状況が良くなる、なんてことはないのが世の常なので、
無線LANの接続が不安定なときの参考にしてくださいませ。